足の匂いに注意(その3)

足が臭ければ文句を言われ、臭くなければ問い詰められる。
しかし寝たフリをかましていきなりの奇襲攻撃にたじろいではいけません。
ついさっきまで金色の椅子に座らされて足の付け根の大事なトコからつま先までキレイきれい。
そりゃ臭いワケがありません。
こんなとき苦し紛れに「風呂入ってきた。」とか、「サウナに行った」など答えてはいけません。
なぜならば、明らかに不自然なのであります。
「なんで頭洗ってないの?ねえ、ひげも剃ってないし、なんで?」
などとさらに厳しい追及をされて首をぎゅうぅっと締め上げられてしまうわけであります。
とっさに発した答えが
「足を洗ってきたんだよ。」
「なんで?」
「臭いからだよ。」
「どこで洗ったの?」
「どこだっていいじゃん、臭くなけりゃそれでいいじゃん。」
そう言って両腕をつかんで体勢をすばやく入れ替えて耳元でつぶやくのです。
「まっててくれたんだね、遅くなってゴメンネ。」
ぎゅぎゅっと抱きしめてそっとくちづけて、その先は若さがなんとかしてくれたのでした。
若かったのでした。
すばらしい回復力なのでした。
翌年、次女が誕生したのでした。