きのうのつづき

大喜びでT君の儲け話に乗ったものの、パー券をさばくのにかなり苦労しました。T君の計画では計画300枚のうち100枚を私とNとE3人で引き受け、最低でも200枚をT君とその相棒がさばくということでした。
儲けの配分はT君が7割、私達が3割です。全部売れれば単純に私達に30万はいってきます。私は気合を入れて売りましたが、N君とE君が早々と降参しました。2人で20枚がやっとでした。
2人とも分け前はいらないからパーティだけ参加したいと言ってきましたので、相当気合がはいりました。なにしろ30万独り占めですから。
次の日からスキー部とかテニス部とかまわってすべて売りつくしました。まとめ買いしてもらった分は値引きしちゃったんで、手元に40万しか残りませんでしたけど。
それでも差し引き20万は入りますからウッシッシと、思いながらも不安が募ります。果たしてT君たちが200枚も売れるのか?
電話してみました。
私:「ところでTたちだけで、200枚も売れんのか?」
T:「オレのダチのSって奴が本物の慶大生でさ、すんげえ顔広いのよ、なんつーのそのサークルっていうのもSが作って、立教とか上智とかのサークルにも顔出してる奴なのよ。」
私:「だったら俺たちなんか誘わないでそいつが仕切ったほうがいいじゃん。」
T:「Sはなあ、いろいろツアーとかパーティとかいっぱい企画してて忙しいんだよ。嫌ならパー券返せよ、せっかくモテねえおめーら楽しませようと思ったのによ。」
私:「そうではなくて、チョット心配になっただけ。大丈夫、俺たちもう全部さばいたから。」
T:「おー、さすがやるねえダックちゃん。まあ当日は楽しくやろうぜ。」
電話をきったあとも不安は拭えませんでした。そもそもT君に慶応の友達がいるなんて初めて聞いたし、本当だとしても私を誘うのは不自然に感じました
が、当日、フタをあけてみますとコレが大盛況でありまして、来場300人越え!ビックリ!
満面の笑みを浮かべながら飲み、踊るT君と私。
私:「すごいねSって奴、今日は来ないの?」
T:「すげえだろ、アイツほんとすげえよ、今日は忙しいらしいけど終わりごろ来るよ、売上持って。」
私:「売上持ってか、ところでオマエは何枚売ったの?」
T:「どうでもいいじゃんかそんなの、まあほとんどS頼みだったけどな。」
私:「てえことは、、、Sが来なかったら、金がほとんど来ないってことだよね。」
T:「そうだよ。心配すんなって、たとえもしもSが来なくたってダックちゃんが稼いだ50万があるでしょ?それでショバ代は払えるから。」
私:「えーっそれもまだ払ってないの?普通前金で半分ぐらい入れるでしょ。」
T:「Sがさあ、ここのオーナーも知り合いなんだよ。だから心配すんなって。」
ナンパな男というのはうらやましい、全然へっちゃらなのです。それに引き換え私は儲けを当て込んで手元に40万しかないことが不安で不安で酒ばっかりあおってました。
そして私の不安が見事に適中してしまいました。パーティが終わり30分が過ぎてもSは現れませんでした。Tと私の有金全部あわせても45万しかありませんでした。(つづく)