続々・恋するカレン

ヘビ君:「お前バカかぁ!何で行けなくなったとか言うワケ?『俺も行くんですよ、国立で会いましょう、そのあとメシでも?』ぐらいのこと言やぁいいのに。」
私:「まさかあんな返事が返ってくるとは思わなかった。やっぱ絶対彼氏がいるんだよ。女の子だけでアメフトなんか観にいく訳ないじゃん、やっぱ無理だったんだよ、こんな学生と付き合ってくれるはずが無い。」
ヘビ君:「なにいじけてんだよ。とりあえず国立競技場へ行け!じゃないと車を借りづらい。」
私:「だから車は貸すって。結局、俺のことより自分のことなのね。」
ヘビ君:「お前なあ、そのひがみ根性なんとかしろよ。朋チャンには会えないかもしれないが、本場のチアガールには確実に会える。とりあえず朋チャンが誰と行くのかヨーコに探ってもらうから、シマウマあたりと行ってこいよ。ドラマのような劇的な出会いが無いとも限らん、無いとは思うが。」
ヘビ君の言うことも正しい、そうだ、まだ彼氏がいると決まった訳ではないし、やっぱりチアガールもぜひ見たいので下町のプレイボーイこと「シマウマ君」を誘って国立競技場へGO!しました。
ヘビ君情報によると朋ちゃんは会社のお友達数人と観に行くとのことでした。もし現地で会えたら、いや絶対見つけて食事に誘う!シマウマ君もいっしょだし心強い。と意気込んで現地に着きましたが、外苑の駅を出たらば、人、人、人の山でした。6万人収容のスタンドが満員です。見つかる可能性がものすごく薄いので、あっさりチアガール観戦に切り替えました。いやホント可愛かったですよ。(ことミックのあやみきのチアにはかないませんけど。GAMでもチアのコス希望)

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初冬の国立競技場も試合の終わりが近づくにつれ西側のスタンドは日陰となり熱戦とはうらはらに冷えてきました。「便所行ってくる。」シマウマ君に告げて階段を上り通路に出ました。通路はさらに冷え込んでて寒い、背中をかがめてトイレに向かうその先から一組のカップルが向かって来ます。
袖がカーキ色で身がネイビーのおそろいのスタジャン、男は私よりちょっと背が高く均整のとれたスポーツマンタイプ(今だとマリナーズイチローっぽい感じ)、25歳ぐらいか?その腕にしがみつくように腕をからませて49rsのキャップを目深にかぶっている背のちっちゃい女。
まさか?、そう、そのまさかでした。
「アッ!」「あっ!」一瞬驚いた目、でもすぐに優しい笑みで会釈してそのまますれ違って行ってしまった朋ちゃん。私は振り向いて二人の後姿をずっと見てた。もちろん振り向いてはくれなかったけど。
たった一回、4人でドライブに行っただけ、たった一回電話で話しただけ、でも今日まで朝から晩までずっとずっと君の事ばかり考えてた。スキーに行ったり、遊園地に行ったり、海に行ったり妄想してた。どうしてこんなに好きになったんだろう?そしてなんでこんなふうに会ってしまうんだろう、便所に行くこともしばし忘れて呆然としていました。試合が終わり通路に人が溢れてきて席に戻れなくなって壁に向かって突っ立っていました。背中をポンと叩かれ振り向きますとシマウマ君が怒ってました。
シマウマ君:「なにやってんだよ、女便所でも覗いてたのか?寒い中待ってたんだぜ。」
私:「・・・・・・・」
シマウマ君:「どうしたんだよ、オイッ、具合でも悪いのか?それともチアガール見て興奮してアレか?」
私:「ばかっ、ちがう(かくかく、しかじか、すでに涙目)」
シマウマ君:「なんだよ、そんなドラマみたいなことあんだ。そんじゃ飲みにいくべ、上野にいい店あるから、朝までつきあうぞ。ただしオマエのおごりで。」
その後、どこでどうしたかは記憶がまるでありません。翌日の夕方、お花茶屋駅の近くのシマウマ君の家で目が覚め、シマウマ君の家でお母さんの晩御飯をご馳走になっていたらシマウマ君が帰ってきて、愛車セリカXXで船橋市の私のアパートまで送ってくれました。BGMはもちろん「恋するカレン」。
その4年後、大手自動車メーカーに就職したヘビ君とヨーコさんは晴れて結婚しました。今は無き赤坂のキャピトル東急での披露宴の際、朋ちゃんと再会しました。この話にはさらに驚きのオチがありますが、いずれ機会があれば書きたいと思います。あ、もちろんヘビ君もシマウマ君もいまだにお付き合いしておりますよ。特にシマウマ君とはその後2回ほど兄弟になってます。(おしまい)