旧友襲来

今夜、ひょんなことから昔の友人に会うことになり酒を酌み交わしました。
名前を仮に平さんとしましょう。
平さんは十数年前までは小さいながらも建設関係の社長さんでしたが、会社はとっくの昔に消えてしまっって、奥さんとも別れて今は運送関係の仕事で敗者復活戦とのこと。
平:「やあ、ダックちゃん久し振りだね、全然変わらんね。ゴルフも上手くなった?」
ダ:「いえいえ、ゴルフなんて、平さんとサイパンでご一緒してから、もう10年以上、クラブも握ってませんよ。」
平:「えーっそうなの。あんなに夢中だったのにねぇ、残念だねぇ。じゃあ休日はなにしてんの?」
ダ:「あんまり休めないんですけど、ミュージカルとか、ライブを観たりとか、。」
平:「ミュージカル?ライブ?最近じゃフィリピンクラブのショータイムをそう呼ぶのかい?」
ダ:「違いますよ、ちゃんと劇場とかホールに行くんです。」
平:「劇場?ホール?なーんだストリップか。あい変わらず好きだねぇ、鶴見とか一緒に行ったっけねぇ。懐かしいねぇ。」
ダ:「ちーがーうーっての。ミュージックホールではなくて、ちゃんとした劇場、コマ劇場とか知ってるでしょ。」
平:「コマ劇場?あーあれか、演歌か、天童よしみとか、だろ?演歌ショーか、ジジくせえな。」
ダ:「違います。ジジくさくないの。今月はパルコ劇場に行ってるんです。」
平:「パルコ劇場?知らねえなあ、まあいいや、どうせダックちゃんのことだから目的はアレでしょ。ゴニョゴニョしてもモニョモニョでしょ。」
終始こんな感じで説明しても疲れるだけでしたので、その後はカラオケを歌って楽しく過ごしました。
なんとなく予想はしていましたが、やっぱりお金は持っていませんでした。
「次はおごるで」と前歯の抜けた笑顔に負けました。
「じゃあ元気でね」と別れた後、少したって振り返るとまだずっと手を振ってくれていました。
なんだかもう会うことはないような予感がしました。