同級生8

敏子の手紙
ほとんど原文?のままかな、長いです。
「元気ぃー?驚いたぁー?
まずは大学進学おめでとう。たいしたもんだ、よく悪事がばれずに推薦もらったもんだな。
アタシのほうは卒業したらすぐに高知県に引越すことになったの。小学校4年生まで住んでた場所、就職先も決まってるんだ。
最近あんまり会わなかったし、知られないうちにバイバイしちゃおうかと思ってたんだ。
そしたら昨日電話があっったから、一回だけ勇気だしてみることにしたんだよ。
アタシが転校生だったこと覚えてる?忘れてるよね。こっちに来てすぐに仲良しになったのがめぐみだったの。
めぐみがオマエのこと好きだっていうからちょっと気になってた。でもオマエは人の給食のパンは勝手に食べちゃうし、鉛筆貸したらかじっちゃうし、いつも憎たらしいことばっかり言ってたからケンカばっかりしてたよね。変な奴だったよね。
でもアタシが動物の飼育係の時、ウサギが死んじゃってさ、アタシのせいにされそうになった時、オマエだけがかばってくれた。そして一緒にウサギのお墓を掘ってくれたよね。そんときオマエが泣いてるのを見ちゃったんだ。それからなんだか好きになっちゃった。アタシの初恋だよ。
中学でチョット浮気して、クラスの男子に好きな子ができて、思い切って告白したらアッサリふられた。「デブはきらい」だって。
それからずーっといじめられっ子だよ。オマエみたいにケンカしてくれる奴もいなかった。女の友達もめぐみだけだった。
だから親に頼んでバイトする約束して私立の女子校に行かせてもらったんだ。
バイト先でも最初はいじめられたけどガマンして、いつもニコニコしてたらだんだん仲良くなれた。
ところでさあ、なんでアタシが学校と反対側の2つも離れた駅でバイトしてたかわかる?
いつかオマエに会えるって思って毎日仕事してたんだ。ずいぶん待ったんだよ。あきらめてバイトも変えようと思って、最後だからその週だけ残業してたんだ。
あの時は、やっぱり神様はいるって思った。あの日残業してなかったらオマエに会えなかったから、奇跡が起きたと思った。
オマエにいきなり「ちっちゃくなっちゃったね。」て言われて笑ったよ。オマエがでかくなったのにさ。
相変わらず変な奴で全然変わってなくて嬉しかった。
それからずっと仲良くしてくれて嬉しかった。
贅沢はしないようにしてたんだ。必ず痛い目にあうからさ。
おかげで無事、高校も卒業できるし、思い出をいっぱい抱えて帰れます。
あと少しだけこっちにいるけど、もう会わないよ。決めたんだ。恥ずかしいし。
じゃあね。元気でね。     敏子
PS
関西の彼女とうまくやれよなー!応援してるぜ!  」



これは効いた。
終了のゴングが鳴り、気を抜いた瞬間、腰の入ったショートアッパーを食らったぐらい効いた。しばらく立てない。
嬉しいような、恥ずかしいような、切なくって、後ろめたい、ものすごく複雑な感情がグルグル、いや、グルングルン頭の中で急回転。
ごめんなさい。6年生と一緒にウサギにいたずらしたのは僕です。
お墓を作ってあげようと思ったのはウサギに呪われるのが怖かったからです。
泣いていたんじゃないんです。ウサギがくさくてゲロ吐きそうだったんです。
そうとは知らずに好きになってくれたなんて、なんて間抜けな敏子。可愛いぞ。
次回、最終話。