みるくちゃん5

憧れの女子に彼氏がいたことがわかって拒絶反応を起こし背を向けてしまうのか、それともその彼氏が友達の友達とわかり接近のチャンスとガッツポーズをするのか。
もちろん私は後者を選びました。私は幸せな人間です。いつも物事を自分の都合の良いほうにとらえてしまう思考がいつのまにか脳にプログラミングされていました。
マン君もシマウマ君も私よりも背が高くて足が長かったのですが、学食のテーブルで一緒に座ってメシを食っていますと一番デカく見えるのが私でした。顔も首の太さも肩幅もすべてひとまわり大きかったのです。
夏休み直前、憧れのみるくちゃんと初めての会話も「ダック君て大男だと思ってたけど立ったら普通だったのね。」
「それって足が短いってコト?」
「そうじゃなくって逞しいってコト。」
「ホントに?う、うん。」
まあ、そんなことがきっかけで仲良くなっていけるかなと期待していました。
夏休みは車を買うためにガソリンスタンドとファミレスの2本のバイトで稼ぎました。
友達に山中湖のボート屋のバイトに誘われましたが、給料が安いので断りました。

後でボートのバイトに行ってた奴らの武勇伝を聞いてものすごく後悔しました。
しかしクルマは手に入りました。「クルマがあれば何処でも行ける、クルマがあれば彼女もできる。クルマがあればなんでもデキル。」
いろんな期待を胸に新学期が始まりました。