みるくちゃん4

「アイドルは処女」
そう信じていた10代の半ば。さすがに大学生になりますと、「そんなわけないだろうけど、そうだったらいいののなー」ぐらいに落ち着いてくるものです。
われらがアイドルみるくちゃんも「絶対処女」決め付けていたわけではありません。
すでに妄想の中では何度も結ばれた仲ですし。
でも、できれば彼氏の存在は否定したい。特に、このキャンパスにいる1年生の期間だけでも。
しかし、現実は週刊誌の中吊り広告のように突然やってきます。

ある日の昼休み、いつものように食堂のホールで鼻の下をのばしていると、その頃はまだ仲良くなかった友人のシマウマ君が話に割り込んできました。
「オマエらが言うみるくちゃんことキノシタケイコだけどな、オレのダチのマン君(マングース君)と最近つきあってんよ。マン君知ってんだろ?知らないの?赤いゴルフに乗ってくる奴、知ってんだろ。」
そう、マン君とはサーファーで、お金持ちで、浅黒く日焼けしたハンサムなお顔にサラサラな長い髪、長い足、長いち○ぽ(?)の持ち主。私が女だったら見つめられただけで股間を濡らしてしまうことでしょう。

シマウマ君の話は続きます。
「マン君のことだからさ、すぐやっちゃったんだけど、どうやらマン君が初めてではなかったらしい。それどころかかなり凄いらしい。」
「凄い?凄いって何が?」
「何がって、アレに決まってんでしょう。」
「ヒェー!」
「それにあんなことや、そんなことや、こんなことも上手らしい。」
「ヒェー!」
約2名が発狂して姿を消した。1名は両手ぶらりのノーガード戦法のまま息を引き取った。
私は昨晩おかずにしたビニ本の猥褻な図画とみるくちゃんの容姿が頭の中で交互にスライドショー。


その日限りで「処女を守る会」は自然消滅しました。
お友達たちは手のひらを返すようにみるくちゃんを罵倒し始めます。
「槍萬女!」「良く見りゃブスじゃねえか」「あーやだやだ消えて欲しい」などと言う始末。
アイドルのファンがスキャンダル発覚後にアンチに変身するまさにお手本のようでした。
これを期に私はシマウマ君と仲良しになるべく急接近したのです。
みるくちゃんの彼氏の友達の友達になっといて損はないですし、なにしろ女子との交流がかなり期待できそうです。